こんにちは、新入社員のみなさん!
少しずつ会社の生活にも慣れてきた頃でしょうか?
今回は、将来きっと役に立つ「退職金」について、わかりやすく解説します。
まだ先の話かもしれませんが、今から知っておくことで安心できますよ!
退職金ってそもそもなに?

退職金とは、その名の通り「会社を辞めるときにもらえるお金」のこと。
長く働いた人ほど金額が多くなる傾向があり、「これまでお疲れさまでした」という意味を込めて支給される“ごほうび”のようなものです。
支給される主なタイミング
基本、会社を退職する際に受け取ります。
ただし、すべての会社で退職金があるわけではありません。
定年退職
60歳など、定められた定年年齢での退職時に支給されます。
結婚・出産・介護などの事情による退職
以前は、結婚を機に退職する女性が多く見られましたが、現在は家庭と仕事を両立しながら活躍される方が増えています。
転職・独立など
かつては「一つの会社で定年まで勤め上げる」考え方が一般的でしたが、最近では転職や独立を通じて自分のキャリアを広げようとする方も多くなっています。
退職金は「もらえるのが当たり前」じゃない!
実は、日本の法律では「退職金を支給しなければならない」とは決まっていません。
退職金制度があるかどうかは会社ごとの判断に委ねられています。
自分の会社に退職金制度があるかを確認するには?
「就業規則」や「退職金規程」をチェックしましょう。
不明な場合は、人事部や総務部に問い合わせてみてください。
退職金には3つの種類がある!

退職一時金制度
辞めるときに一括で支払われるタイプ。最もシンプルでわかりやすい仕組みです。
支給額の決定:従業員の勤続年数、最終給与、役職、業績などに基づいて、会社の退職金規程によって金額が決定されます。
税金:退職一時金は「退職所得」として扱われ、所得税や住民税が発生します。ただし、退職所得には「退職所得控除」という大きな控除が適用されるため、税負担が軽減される仕組みになっています。
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出すれば、会社が源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。
- メリット: まとまった資金を一度に受け取れ、これにより、住宅ローンの返済やリフォーム、起業資金など、様々な用途に自由に活用できます。
さらに、受け取る際には「退職所得控除」という特別な税金優遇が適用されるため、税金負担が軽くなる傾向があり、社会保険料もかからないので、手元に残るお金が多くなります。 - デメリット: 退職金を一時金で受け取る場合、突然まとまったお金が手元に入ると使い込んでしまうリスクがあります。
自己都合で退職すると、退職金が減額される可能性があります。
また、万が一、会社が倒産した場合は、退職金が支払われない可能性があります。(退職金共済制度があれば保障される場合もあります)。
退職所得の税金について
退職一時金にかかる税金は、以下の計算式で「課税退職所得金額」を算出し、それに税率をかけて計算されます。
課税退職所得金額 = (退職一時金 - 退職所得控除額) × 1/2
【退職所得控除額の計算方法】
- 勤続年数20年以下の場合: 40万円 × 勤続年数 (80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続年数20年超の場合: 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
- ※勤続年数に1年未満の端数がある場合は、1年に切り上げます。
例:勤続30年で退職金が800万円の場合
800万円 + 70万円 × (30年 – 20年) = 800万円 + 700万円 = 1,500万円が退職所得控除額となります。
確定給付企業年金(DB)
従業員が将来受け取る「給付額」があらかじめ約束されている企業年金制度で、日本の企業年金制度の中で最も普及している形式の一つです。
給付額の確定:従業員の勤続年数や退職時の給与、役職など、会社が定める計算式に基づいて、将来受け取る年金額または一時金額が事前に決められています。
掛金の拠出:会社が、将来の給付に必要な金額を計算し、定期的に掛金を拠出します。従業員が掛金の一部を負担する場合もありますが、その場合も負担割合は労使合意で決定されます。
資産の運用・管理:拠出された掛金は、会社自身が運用・管理するか、または生命保険会社や信託銀行などの外部機関に委託して運用されます。
- 規約型:会社が直接、生命保険会社や信託銀行と契約を結び、外部で年金資産を管理・運用します。
- 基金型:会社が独立した法人格を持つ「企業年金基金」を設立し、その基金が資産を管理・運用します。
給付:従業員が退職する際、事前に約束された給付額に基づいて、年金として分割で受け取るか、または一時金として一括で受け取るかを選択できます。
- メリット: 将来の受取額がある程度決まっているため、老後の計画が立てやすく、運用の成績は会社が負うため運用成績が悪くても、約束された給付額が減ることはない。
また、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が適用され、税負担が軽減される。 - デメリット: 従業員が運用商品を選べず、高リターンが狙えません。また、会社が倒産した場合、給付が滞るリスクはゼロではありません。ただし、年金資産は会社から分離管理されているため、比較的保護されています。
確定拠出年金(DC)
加入者(従業員や個人)が自分で掛金を運用し、その運用結果によって将来受け取る年金額や一時金額が決まる年金制度です。日本の年金制度における「3階建て」の年金の上乗せ部分(3階部分)にもなっています。
確定拠出年金には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)
- 主に企業が主体となって導入する制度で、従業員が加入し還俗として会社が掛け金を拠出します。
- 従業員自身が事業主掛金に上乗せして掛金を拠出できる「マッチング拠出」の制度を設けている企業もあります。
- 運用商品は、会社が選定した金融機関が提供する範囲から選択します。
個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)
- 個人が主体となって加入する制度で、本人が掛金を拠出します。
- 運用商品は、加入者が選択した金融機関(運営管理機関)が提供する範囲から選択します。
- 自営業者、会社員(企業型DCのない会社員、企業型DC加入者も条件を満たせば加入可)、公務員、専業主婦(夫)など、ほとんどの人が加入できます。
確定拠出年金(DC)の仕組み
- 掛金の拠出:毎月、所定の掛金が拠出され、企業型DCでは主に会社が、iDeCoでは本人が拠出します。
- 加入者自身が運用:拠出された掛金は、加入者個人の資産として管理され、加入者自身が提示された複数の運用商品(投資信託、定期預金、保険など)の中から選択し、運用します。
- 運用成果が給付額に影響:運用成績が良いほど将来の受取額は増え、運用成績が悪い場合は受取額が減る可能性があります。運用リスクは加入者自身が負います。
- 給付:原則として60歳以降(加入期間によって異なる)、年金として分割で受け取るか、または一時金として一括で受け取るかを選択できます。
- メリット:確定拠出年金(DC)最大の魅力は、手厚い税制優遇です。
毎月の掛金は、所得から差し引かれるため、所得税や住民税が安くなります。さらに、運用で得た利益には、通常20.315%かかる税金が一切かかりません。これにより、効率的に資産が増やせます。
そして、老後に積み立てたお金を受け取る際も、「公的年金等控除」や「退職所得控除」が適用され、税金が軽減されます。
この三段階の税制優遇が、DCを活用する大きなメリットです。 - デメリット:運用は自分で行うため、成績次第では元本割れのリスクがあります。また、積み立てたお金は原則60歳まで引き出せないため、急に資金が必要になっても使えません。
iDeCoの場合、手数料がかかります。運用益が少ないと、この手数料によって元本が目減りする可能性もあります(企業型DCでは会社負担が多いです)。
さらに、転職や退職時には、資産を新しい制度へ移すための手続きが必要になります。自分で運用商品を選ぶため、ある程度の金融知識や情報収集も求められます。
退職金の金額はどうやって決まる?

多くの企業では以下の要素で金額が決まります。
- 勤続年数:長く働くほど多くなる傾向
- 最終月給:退職直前の基本給や手当を基に計算されることが多い
- 退職理由①:会社都合:満額や割増になることも
- 退職理由②: 自己都合:減額になる場合あり
また、「勤続○年以上で支給」などの条件が設けられている場合もあるので、規程の確認は重要です。
「退職金制度あり」の会社に入るとどんなメリット?

長く働くほど退職金が増えるので、将来の安心材料になる
退職時の金額は数十万ではなく、数百万から数千万円と考えられるので、住宅ローンの返済などに充てることができます。
老後資金の一部として考えられる
年金が少ない!この時代なので、年金にプラスして生活費として考えられます。
長く働き続けるモチベーションになる
長く頑張れば頑張るほど、もらえるお金が増えるというモチベーションになり、一つの会社で長く働き続けるきっかけになります。
注意!転職するときはどうなる?
転職する場合は、次のことがあります。
- 退職金は「原則、今の会社を辞めたらリセット」となります。
- 転職先の会社のルールに新たに従う形になります。
- 退職金がない会社もあるので、転職活動のときは必ず確認しましょう。
まとめ

今回は、新入社員の皆さんに向けて、退職金の基本的な「キホン」をお伝えしました。
- 退職金は会社を辞める時にもらえるお金(ただし、ない会社もある!)
- 退職金は「会社が自由に決められる制度」
- 退職金には「退職一時金、確定給付企業年金(DB)、確定拠出年金(DC)」など種類がある
- 支給条件・金額は会社ごとに違う
退職金の制度を知っておくと、働き方や将来設計のヒントになります。
将来の自分をちょっとだけ想像しながら、今の仕事を頑張っていきましょう!